夜明けのムー...君が泣いた written by yumart3000
焚き火の薪は燃えている。その周りを照らし揺らめいている。
回転する物体の外側に行けば行くほどそのスピードは早い。反対に内側に向かえば向かうほどそのスピードは緩やかになりやがて、その中心はほとんど動いていない。...ということに君も気付く。
RasJuju 迷言集「言の葉」第一集より抜粋。
それは、すごくメロウな一日の始まりで、庭から見える送電線の鉄塔越しの富士山をまぶしく見つめつつオレは、お気に入りの焦げ茶のタオル地のバスローブを灰色のTシャツの上にさらりと羽織り、B.D.Uのカーゴパンツにグレーのフェルトのサンダルを履き、庭にある北欧から取り寄せた材料で組み上げたウッドデッキでDRAMをZIG-ZAGで上手に細く巻いていた...。そんな「天国の住人に唯一与えられた仕事」的なモーションにひとしきりハマっていると。ポケットの中のNOKIA6630が鳴った。
ツー...。ツー...。ツー...。ピッ。
「はい。ガイダンスクリエイション北麓ブランチぃ...。」
「へえ...。そうなんだ。...OKわかった。色々考えてみるよ。ありがとう。...でこの話の出所は?」「うん。」「うん。」「で?」「うん?...今なんて言った?」「バブルス!!!」「うどんや?」「ああ...サリンジャー。」「なるほどね。わかったよ。JAH色々考えてみるよ...。 JAH。」...ピッ。
こんな話が舞い込んできた。
山高湖の別荘地の瀟洒な建物が丸々一件使い放題で北麓はおろか西東京あたりのヒッピー含め周辺のパーティーピープルが、酒や食べ物。その他リーガル・イリーガル問わずネタ。毛布やマミー型のスリーピングバッグやキャンドル。サウンドシステムや芸術家。ミュージシャンや絵描きなんかを集めて毎週パーティーを開いているという。...何でも毎週末ごとに300万ほどの¥がそのモダンで洗練された山高湖の別荘で動いているんだとか。それに付け加え驚くことに、もはやビジネスといっても全然過言ではないその「パーティー」を仕切っているのは、単なる地元の若者で、そのブレインとして中心には(あくまでも) 自称海外のレーベルのコンピレーションにかつて楽曲を数曲、提供したことがある。...程度の元レコーディング・アーティストなんかが絡んでいるんだそうだ。...で。気になる話の出所はこの「瀟洒な建物」の持ち主のどうしようもないくらい金持ちの山高湖の大地主の長男、本人だそうだ。かれはどうしようもない金持ちでそれと同じ程どうしようもない男で、冬の午前中には溶けた雪で幹線道路でさえグチャグチャになるような、ここ北麓でFERRARI DINO 308GT4をフェラガモの靴をはいて乗り回すというイタリアン伊達男の文化そのものへの冒涜的行為ともとれるような厚顔なキャラもその低能さでも平気でこなせるような、危機感のない26才だ。その証拠に彼はその「瀟酒の建物」を貸し出すにあたり、これまで誰からも¥をいっさい受け取っていない。これからもその方針は変わらないだろう。なぜなら彼は「¥を増やす」という発想は持ち合わせておらず、投資や貯蓄という概念も皆無で、ただただ「消費」に生きる26才だからだ。
「最近。ウチで毎週パーティーやってんだよね。」
電話をかけてきたのは「情報屋ケンちゃん」で「情報屋ケンちゃん」はいつでも「それでどうしたいのか?」は絶対に自分から言わない。本当は何が欲しいのかを匂わせて情報を落として数日いなくなる。正確に言うとこちらがそういった情報の乾きに耐えられなくなるのを物陰から見ているかのようなタイミングで「突然失礼します...」と嫌な感じで電話をかけてくる。只。「情報屋ケンちゃん」の話は間違いが無い。そしていい匂いがする。
アメリカでいうところのGREENの匂いだ。
で?...この話のポイントは...。それこそが。各々にこの現在に感じてもらいことであったりする。参考になるのは 「9.11」の真実とかその周辺。
そして君は、誰が羊で誰が狼であるかを知れ。
RasJuju 迷言集「おはようサンフランシスコ」より抜粋。
この言葉がふわりとまるでMad Professorのリバーブを効かせたギターのカッティングのミュート明けからエコーにつながる瞬間のように浮かんだ。北麓はもうすぐ短い夏を迎る。
そして数日後オレは。山高湖に向かって葉の都公園横を時速35キロで流していた。あの日は押忍野を抜ける風邪がなまぬるく、テープデッキから流れるmikey dreadの甘くせつない歌声と大変マッチして聞こえていたんだった。
yumart3000への質問・感想・応援メッセージはこちらまで。 |