旅・・・。
どこか、ここではないどこかへ。
小学校からの親友kbleem。昔から何かにつまずいた時、最高潮に落っこちてる時、いつも彼は旅の話をしてくれた。そう彼はバックパッカーの先生なんだ。彼の話はほんとに面白かった。俺の乏しい想像力を最大限に膨らませて彼の話を聞いてる時、まるで疑似体験をしているみたいにゾクゾクしてワクワクして興奮した。彼は一つずつ丁寧に思い出しながら伝えてくれた。全ての彼の体験が俺をトリップさせてくれた。そんな時間が大好きだった。何よりその話をしている時の彼の無邪気な顔が素敵だった。とても幸せな時間が流れてた。何度も何度も彼に旅の話を聞いた。いつしか俺も俺の旅に出ようと心に決めた。
決して74bpmじゃない、グルグル回る東京の時間の中で日々に追われながらも暇を見つけて本屋に行き、気になってた旅行記という旅行記を片っ端から読み、遠くの異国を夢見て現実逃避をしていた。そんなある日、事件は起こった。何でもない俺のミスを彼は許さなかった。どこの職場にもいる外部を遮断して自分の世界の中だけで生きているどうしようもなく退屈なやつ。俺はそういうやつを決して受け入れないし、彼もまた受け入れない。村上龍の言葉を借りるなら『人間を家畜へと変える仕事を飽きずに続ける退屈の象徴』とでも言おうか。
“退屈の象徴”
『もう、いいや』と素直に思えた。この場所にいて自分を失い続けるのが心の底から嫌になった。こんなアホを殴ってもしょうがない。彼を見て笑いが止まらなかった。俺は何も言わずそのまま店を飛び出し表参道を原宿駅に向って歩いた。後悔は全くなかった。そして自然に旅のことが浮かんできた。28歳初めての海外。もちろん不安も怖さもあった。が、何よりこの日本という国にいるのが辛かった。誰も知らない何もわからない異国に行きたかった。どんよりとした東京の空を後にして俺は飛行機に乗った。俺の旅が始まった・・・。
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